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yuuの一人芝居

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小説 『今拓く空』 冬の空 1


 瀬戸大橋の全貌です 借り物です


この小説は 海の華の続編である 冬の華の続編である 春の華の続編である 夏の華の続編である
秋の華
の続編である 冬の路の続編である 春の路の続編である 夏の路の続編である 秋の路の続編である
「冬の空」は彷徨する省三の人生譚である。
この作品は省三40歳からの軌道です・・・。ご興味が御座いましたら華シリーズもお読み頂けましたらうれしゅう御座います・・・お幸せに・・・。

  冬の空  どんよりと覆う空は 心を閉ざすのか・・・。

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  冬の空

1

 悠一の手術、豊太の交通事故はあったが恙無く日はめぐり過ぎていた。悠一も豊太も高校生になっていた。一人で喫茶店を仕切る育子は強く逞しくなっていた。
 省三は時たまの発作以外は健康になっていた。
 戸倉の手伝いで青年演劇の台本を書き、過ごした。演劇青年は常に入れ替わっていた。
 春、秋の定期公演と青年祭への参加作を省三は書いた。青年演劇の台本は百作を超えていた。
 順子も芳子も嫁にいき子供の母になっていた。古賀が交通事故で亡くなっていた。
 省三は子供を中心にした劇団を設立した。隣の空き地にスタジオを作った。七十人のキャバのものだった。
 集まった子供たちは、苛められっ子、不登校の子が大半で。親が演劇すきで連れられてくる子も中にいた。
 発声練習の中に九九を二十までと歴史年表、科学記号、元素記号と比重を加えていた。演劇の練習でいずれ役に立つものを覚えておこうというものだった。最初は十人くらいだったが直ぐに三十人四十人と増えていった。それに青年たちが十名程いた。悠一と豐太もそれに加わった。
 稽古場のスタジオが狭く感じられた。柔軟体操や脱力が出来ない、三班に分けた。二班はその間外を走らせた。
 ハァハァと息が上がっているときに発声の練習をさせた。子供は殆ど活舌が出来ていなかった。
「みんな、感動した生活をしてくれ」「感動を知らぬものが感動を人に伝えられないから」「感動とは心が動き心に残ったものなのだ」
 省三はみんなに言った。
 一人ずつ一日の感動を喋らせた。ワークショップは議題を設けてさせた。
 みんなに一冊ずつ井上ひさしの「ブンとふん」を渡して回し読みをさせた。本を読んだことのない子が大半いたからだった。読書の面白さを知ってほしいというのがその目的であった。それが演劇に役にたつと思ったからだった。
 通達事項は当用漢字以上の漢字を使って書いて渡した。辞書を引く習慣を持って貰う為だった。台本も漢字を覚える為に当用漢字を使おうと思っていた。
 礼儀は喧しく言った。出来ていない子は何回も階段を上がらせて挨拶をさせた。スタジオの掃除は徹底させた。子供といえどもやらせた。履き、モップ掛け、ワックスがけ、トイレの掃除と当番を決めてやらせた。子供たちを二十人に絞りたかったので厳しく言ったのだった。が、二三人やめただけでその目論見は失敗に終わった。みんな真剣についてきていた。子供以上に親が真剣になっていた。苛められっ子、不登校の子がここぞとばかり張り切っていた。
 一月もたたないうちに仲間意識が生まれ、結束力が強くなってきた。打ち解け助け合いが広がった。
 早口言葉を競い合う姿が見られた。スタジオには笑いがはじけていた。
 青年は四班に分かれた子供たちのなかに三人入って指導をし、練習をしていた。
 子供たちが帰って、青年たちの本科的な練習になるのだった。
 青年活動というのは公共施設を使えば時間という制限があった。公民館は九時には閉まるのだった。仕事を終えて駆けつけるのが八時半を過ぎることもあったことを見てきていた。その人たちに活動の門戸を開きたいというのも省三の考えだった。町には青年が目的もなく遊びうろついていたが、勤労青年は仕事を終え僅かの自分の時間に何か夢中になることを探していた。そんな青年に場所を提供したかった。市や県に時間延長を申し出たが「うん」とは言わなかった。青年会館の建設とその自主運営を青年にと提言したが実現しなかった。演劇の練習がないときは場所を提供し、子供も青年も集えるようにしていた。ここに来れば誰かがいて色々な人と出会い、話が出来るようにと考えたのだった。演劇の練習見学は自由にしていた。
 子供たちや青年たちと学び合おうと言うのが省三の目的だった。
「なんと見事な平城京」「鳴くよ鶯平安京」「いい国作ろう鎌倉幕府」「以後予算食う鉄砲伝来」
 練習日には発声練習で子供たちの声が聞こえていた。その声を聞きながら省三は台本を書いていた。総勢五十名が何らかの形で出演できるものをと考えての創作台本だった。一生の思い出になるものをという気持ちが取り掛かったのだった。劇団旗揚げには新しく出来た芸文館で公演をしてという思いがあった。八百三十のキャバをどう埋めるか、経費はどうするか、そんなことを考えながら書き進めていた。
「演劇にはお金がかかるから大変よ・・・。いいスポンサーを見つけることやね・・・。私がそっちにいたらお金集めに歩いてあげるのにね・・・」
 梅木女史から電話がかかって来たときにそう言われた。梅木女史は書き物をしながら日本舞踊を習い始め名取を取ったといった。元々芸事の好きな人であった。
「もう物を書くのはしんどいわ・・・踊りのほうが性根におうてるようや・・・。流派を立ち上げようとも考えとんのやわ・・・」
 梅木女史は人間の底に潜む情念の世界に長けていた。今そのテーマでは書き続けることが出来ないのかと省三は思った。
「やめないで下さいよ・・・一度離れると帰りの扉は重たいし中々開きませんよ」
「いいのよ、どうせ気まぐれ時間つぶしに始めたことなんやから・・・今村ちゃんと一緒にやってた頃が一番楽しかったわ・・・。あのころ、亭主とうまく行ってなくて・・・賭けていたのよ・・・女流新人賞に・・・取れたら別れ様と・・・でも駄目やった・・・子が鎹やったわ・・・毎晩、今村ちゃんに電話して・・・あの時は楽しかったなぁ・・・。うちは女やった・・・。今は乳あらへん・・・乳がんの手術でとってしもうた・・・ずっしりとした重量感が懐かしいわ・・・。流派立ち上げのときは来てや・・・あたしの乳を見せるから・・・」
 梅木は明るく言っていたが、その寂しさが伝わってきた。
 省三は人の生き方に様々な影があるとこを知らされる思いだった。
 台本は中々進まなかった。
 倉敷で幕末に起きた事件を書くことにした。それなら出演者が百人はいるものだった。

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       時 現代と文久元年~元治元年~慶応へと交錯する。
       所 コンビナートの源内の書斎と倉敷村・石城山・浪速、
       下津井・連島・宝福寺・その他。
       舞台と人物は時と所を変えるが時空はいつも流れているという
        ふうに演じること
       舞台情景
       コンビーナートがある町の柿本源内の書斎。
       上手に障子に机、その周りに散乱する様々なもの。
       上手は様々な空間処理により舞台となる。
       下手には美観地区の町並みが造られている。
       石垣に垂れ下る柳。
       下手は劇中劇の装置である。が野外と庭としてトップが降りる
       ときがある。
       上手は屋内として・
       エピローグ
       開幕してすぐに女性(お竜)が、
       江戸の末期の様、内乱を語り、京の町からひとりの女性が消え
       た事を淀むことなく喋って下手へ
       1幕1場
       開幕するとホリゾントが燃えている。ゆっくりそれが落ちて、
       音により時代を感じさせる。
       上手の書斎がぼやりと明かりが入る。
       雑然としていて足の踏み場もない。
       源内は机に向かい、妻の静は洗濯物を畳んでいる。
       庭に五右衛門がのんびりと横たわり時に大きな欠伸をする。縁
       には三太郎が居眠りをしている
       人の気配に五右衛門がおきあがり吠えたたてる。
静  シー、五右衛門ちゃん、今日のような日はワンと泣いて番犬の務めをしょうなんて考えては駄目。
       静は五右衛門に源内の様子をパントマイム。
       源内は頭を掻き毟り呆然とし鉛筆を舐め、猛然と書き始める。
       庭先からお竜(妙齢の美人)が 現われる。
       五右衛門は知らぬ振りをして、お竜を見ていたが・・・。
五右衛門  キャン。
静  これ、キャンもいけません。旦那様の・・・。
       静がお竜に気づき怪訝そうに見る。
       お竜の視線と静の目線がぶつかる。
       二人暫しの無言。二人の何方かが口を開こうとして言葉がぶつ
       かる。その繰り返しが何度かなされている。
       源内が原稿を書きながら、
源内  静、すまんがなや、書庫に入って左に曲がり、突き当たって右に踵を回し、二列目を五尺歩き、上から二段目、下から四段目、その本段の左から二十冊目、右から百三十三冊目の「転んでも只で起きるな凡人よ」と言う本・・・。
       お竜との視線の応酬に辟易していた静が振り向き、
静  その「転んでも只で起きるな凡人よ」を取ってくればいいのですね。
源内  いやその隣の「転んでも只で起きてる凡人よ」がいるのだぞい。
静  ややこしい事ですこと。
   (お竜に)何か御用で御座いますか?
源内  おまえは何時から耳が遠くなったのかいなや。「ころんでも・・・」
静  何か御用でございますか?
源内  何を言うのだなや。さっきから・・・。
静  (大きく)分かっております。
源内  (原稿を読む)風のように、煙のように、音もなく侵入してきた。飼い犬の五右衛門が吠えたが、妻の静に諌められて尻尾を巻いて小屋へ入った。その時、主人の源内は原稿用紙に向かって臥薪嘗胆、艱難辛苦、一つの升目の語彙に拘っていたのを静が知って注意を与えたのである。
静  あなた、お客さま、ですよ。
源内 その時、「あなたお客さまですよ」と言う声が、源内の鼓膜を震わせた。
静  馬鹿馬鹿しい。
       静は立って洗濯物を抱え消える。
       猫の三太郎が大きな欠伸をして起き、お竜の傍へ、
三太郎  ニャーン。
お竜  あなたがあの有名な源内先生の愛猫の三太郎くんなの。
三太郎  ニヤーン、おひけいなすって、あっしが三太郎でありやす。生まれ在所は分かりやせん親父の顔おかんの顔さえ知りやせん。が清き流れの高梁川で産湯を使い、捨てられゴミになるところをここの主人に助けられ、二食付き昼寝付き、主人のストレス解消に撫でられ、蹴られ、踏み付けつけられて泣くこともありやすが、今はこうして開き直って大きな顔をしているが、とかく世間はややこしい、この世は住みにくい。猫の仲間に言いたいことは決して物書きの飼猫になるなーよということかニャン・・・。
お竜  ここの先生はそんなに気難し屋はんなのですか?
       五右衛門がノコノコと出てきて、
五右衛門  ワワワン、おいら五右衛門、生まれ落ちて直ぐに生木を裂くように親の元から離されてここの主人の世話になり、芸文館ホールの舞台を踏むのは今回で四回目。何をやらされるか。夏目漱石ではないが猫を主人公にして「我輩は猫である」を書き、井上ひさしは犬を沢山登場させた「ドン松五郎」を書き原稿料をせしめた。モデル料を貰ったのかしら・・・。おいらの主人はおいらや、三太郎、茶子兵衛をモデルにして書いて時間を潰す横着者、おいらは思うんだが、それではもっと待遇を良くしてくれたらいいのになーと。身近な処に題材を捜すより、広大無変の物語のイマジーを湧かせて世界一の長編小説でもものにしては如何かしら。その才能はなしかも・・・よ。ワワワン。それにしても今度は何を・・・ワワワンワン。
お竜  君が心優しい五右衛門君、餌の残りを捨て犬、猫に、雀にと・・・。君は忠犬五右衛門君なんやね。そやったら、ここの先生に感性雅性がないなどと言っては駄目ですえ。稀に見る頑固者、いいえ奇特なお方はんなんやか ら。
       茶子兵衛がすっ飛んで来て、
茶子兵衛  ニヤゴロニヤーン、あたいは茶子兵衛、小雨が降っていた夜のこと、ゴミステーションに捨てられ泣いていた処を、その泣き声に引き寄せられたように近付いて来られ、あたいの顔をみて、「腹が減っているのではないのかなや」とジャングルの様な頭、ごわごわした髭が顔全体を覆い、のから思っても見なかった優しいお声。雌の怪しげな眼差しを一杯篭めて、尻尾を振り振り「ニャーン」と泣きましたわ。主人は、おまえは震えているではないか、今宵の夕食の残り物のすき焼きがあるからして食べてみる気があるならついてこいと・・・、一宿一飯が縁になって・・・ニニヤーン。
お竜  まあなんと世間の風聞と違うのでしょやろ。動物を可愛がる人に悪人はいてへん・・・。来て良かったわ・・・。
三太郎
五右衛門 }ニニャワワワニヤンワンニーンワニヤン                                
茶子兵衛  ワニヤンワワワーワンニーヤン                                     
源内  泣くな吠えるなや、今が一番大切なクライマックスを書いているのだからして・・・。気難し屋さんとか横着者とか才能無しとか、と聞こえたがそれはもしかしてこの我輩のことではあるまいかなや。
三太郎  いいえでやすニャン
五右衛門}いワンでいワン。
       三太郎と五右衛門と茶子兵衛が唄う源内の唄

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              賢い主人は本が好き
 奥さん泣かす大馬鹿者
              なんでも大好き本の虫
 紙屑作りの文豪さ
              哲学文学心理学
 書いても売れない大作家
              新聞週刊月刊誌
 猫に小言の小心者
              ポルノ猥本暴露本
 犬を蹴飛ばす薄情者
              活字大好き読書好き
 影を恐がる臆病者
              不正に目瞑る勇気なし
 風呂でも浮いてる軽い者
              主人は得がたい反骨者
 そんな主人が大好きだ
              ワワニニヤーンワンワンニヤニヤーンワニワニーン
       この唄は延々と続いてもいい。
源内  胡麻すり、味噌すり、喧しい。
三太郎  旦那、お客さんでやすょニャーン。
源内  今が一番の・・・。
五右衛門  若くて美しい女性ですワン。
茶子兵衛  あたいのように可愛い猫・・・いいえお人、ニヤーン。
源内  若くて美しい女性、最近はとんとお目にかかったことがないぞい。
お竜  あの、源内先生でございまひょうか?
源内  そのすずやかなる声音はやはり女人のものだなや。
お竜  はい。私は女子でございますえ。
       源内は立って縁側へ。
源内  して、この我輩に何か用があるのですかなや。
お竜  今お忙しいとは十分に承知いたしておりますねんけど、此の様なお願い心苦るしゅう御座いますけど・・・。
源内  力になれればいいのだがなや。言うてみなされや。
お竜  私は三代目のお竜でおます。
源内  お竜さんといえば・・・。
お竜  はい。お察しの・・・。
源内  お竜さんと言えばあの坂本の竜チャン、たしか坂本竜馬殿の奥方の名と同じではありませんかなや
お竜  はい。その竜馬が薩摩の手にかかって憤死しはってから、京の旅館を封じ・・・
源内  横須賀の大商人と再婚されて・・・。
お竜  それは嘘で御座いますぇ。
源内  嘘ですかいなや。
お竜  お祖母様が可哀相、そんな淫らな女子ではおへん・・・。それからは、縁を頼りにこの倉敷に移り慎ましやかに生きて参りましたえ。
源内  歴史とはいい加減なものとは言え・・・。して、その頼りの方とは・・・。
お竜  さる、大店の旦那衆で御座いました。その方とは高杉晋作どのの所で竜馬があっておりましたさかいに。竜馬、この私の祖父に当たりますけど、今の世間で喧伝されているような人ではありまへんでしたわ。
源内  ほほ、貴女は日本の歴史を変えようというのですかいなや。
お竜  いいえ、真実を・・・。竜馬が評価されればされる程、祖母が可哀相に思えて参りましたんどす。
源内  もう世の中を騙すのが辛いというのですかなや。
お竜  へぇ。
源内  その真実は・・・。
       三太郎と五右衛門と茶子兵衛が・・・。
三太郎  また、何やらややこしい事になりそうでやすょニャーン・・・。
五右衛門  話が今度は、坂本竜馬となると・・・ワン。
茶子兵衛  海援隊の金八先生・・・違ったかしらニヤーン。。
五右衛門  ややこしくするなワワワン。
三太郎  江戸末期・・・でやすニャニャニヤーン。
五右衛門  明治維新前夜、ワワワンのワン。
三太郎  尊皇攘夷、公武合体、大政奉還、桜田門外の変、蛤御門の変、ニヤンニヤン。
五右衛門  吉田松陰、宮部禎蔵、大村益次郎、久坂玄瑞、高杉晋作、武市半平太、坂本竜馬ワワンワンン。
茶子兵衛  井伊直弼、徳川家茂(いえもち)、近藤勇、沖田総司、ニヤニヤンー。
五右衛門  今まで挙げた人達は・・・ワン。
三太郎  維新を知らずに死んだ人でやすニヤーン。
五右衛門  とすると、この中に・・・、いやまたその外に・・・ワンワワワン。
茶子兵衛  聖徳太子、新渡部稲造、福沢諭吉はお札で有名だニャーン。
三太郎  (チラリと見たが知らん顔で)この倉敷でとなると、森田節斎、井汲唯一、林 孚一、立石孫一郎、本城新太郎、三輪光郷、桜井久之助、医者の島田方軒・・・ニヤーン。
五右衛門  なにやら、この倉敷で起こった途轍もない事件の・・・ワワワン。
茶子兵衛  寒いんだわ、淋しいんだわニャーン。
       お竜と源内のやり取り。
お竜  真実はまるで嘘のようでおますさかい。
源内  歴史は事実ではのうて、事実は小説よりも奇なりですかなや。

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 書こうと焦れば焦るほど前に進まなかった。
 省三は倉敷の町波に身をおくことが多くなっていた。夜の人家の明かりが川面で揺れる中にしだれ柳が影を落とす様に江戸時代の幕末を見ていた。黎明が夜のしじまを拓き石畳のうえに広がる様を見て行き来した人々の心に迫ろうとした。代官所あとのアイビスクエアーを訪れ元奇兵隊が襲撃する様を頭に浮かべた。中橋の上に横たわり何度も朝焼けを見たのだった。
 なぜに倉敷代官所が襲撃されたのか・・・。省三は色々な想定を巡らせた。その結論がでない限り書けないと思ったからだった。省三の中に一人の男が現れ語ったのだった。その男は付いて来い言いすたすたと進んだ。そして、大橋家の中へ入っていった。門構えの広い屋敷だったが、一つ一つの部屋は狭かった。
「人としての道で・・・止む無くやった・・・人が何かをする発端は拉致もないことが多い・・・国民の困窮を見捨てる勇気がなかったのだ・・・それが正義かどうかは分らんが・・・動いていた・・・時代が・・・己が・・・妻や子の思いを考える余裕すらなかった・・・私は流れに乗っていた・・・世間がなんと言おうが・・・行動を非難しょうが・・・走るしかなかった・・・」
 男はそう言って頬杖をついた。
 省三はそれだけで何もかも理解できた。かかっていた雲がさっと晴れるようだった。
 気がついたときには辺りは朝焼けの中で日々の営みが始まろうとしていた。
 省三は頭を振り目をしばつかせた。確かに石畳を歩く足音を聞いたと思ったがそれは泡沫の夢の中だったのかと思った。だが、疑問は掻き消えていのだった。
 これで書けると省三は思った。
 書けただけスタジオに持って行きコピーさせた。それを全員に配った。
「分からない漢字は両親に聞くのではなく辞書を引くように・・・その時前後の漢字を見、意味も知ること・・・意外と浴煮た言葉があるものだ・・・言ってみれば親戚のようなものが・・・次の練習日までには読めるようにしておくこと」
 初めての台本に、漢字の多い事に吃驚していた。まだ一場が終わったところだった。子供たちを犬や猫に使い、元奇兵隊にするつもりだった。その頃の奇兵隊には年端の行かない子供たちがたくさんいたのだった。

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舞台中央にトップ。
       その中に、瓦板売りが現われる。
       着物の裾を絡げ頭に手ぬぐいで、手には瓦板を持ち、竹の棒で
       叩きながらの口上。
瓦板売り  たえへんだぁー、たえへんだぁー、さあさ買った買った。備中は倉敷村の汐入り川に架かる前神橋の西袂にある下津井屋に数人の賊が押し入り、主人・・・。おっと、全部言っちゃあ売れやあしなねえ。サアーサ買った買った。買う、買う金もねえと言うのけえ。貧しい國民よ。貧しさで、心まで干涸びさせてはいけねえょ。腹が減っても才長けて・・・。時は文久の三年続きの大飢饉の頃に遡る。雨が降らずに火が降って、土地はカラカラ埃だけ。何を植えても咲かぬは実を付けぬ、百姓は草の葉は無論根まで食べ木の根を齧り、國民はじっと我慢の腹の虫、何時の世も政策を変えずは世の習い、全國の港を閉鎖し荷物の出入りの禁止、それを津留め令と言うなりや、その政策は悪徳商人に利が叶い、國民は骨が邪魔してそれ以上は痩せられねえ、目だけが爛々腹だけが以上に膨れて、その道行きは野垂れ死に、そこかしこ累々の屍の山数多・・・。
 俗に言う下津井屋事件が起こったのは元治元年十二月十八日早暁気のはええ一番鶏の啼く前でやしたょ。
       子供たち幽霊のごとくして舞台に出てきて引っ繰り返る。
       上手にトップ。その中に高杉晋作が現われる。
       以下のセリフの後高杉晋作を晋作と書く。
高杉晋作  この、腐敗した世の中を救うには、尊皇攘夷しかありゃーせん。この二百七十年の徳川の腐り堆積した土壌からは何を植えても芽は出んし、ペンペン草もはえん。國民は苦しみかつ死を待つのみの生業。このへんで朝廷に政権を、新しい政を行なって頂きみんな平等の世の中に・・・。
       國民の声「徳川の世はとっくの昔に川に流れた」の歌子供たち
        が全員で歌う。
       川の流れと人の世は 動きが止まれば腐ります
       家康は小心臆病後家が大好き大嘘つきよ  
       秀忠はせっせせっせと外様を整理に身をやつす
       家光はマザコンで乳母の言うなり春日の局
       家綱は家光の後始末由井正雪の乱で疲労困憊
       綱吉は政治は得意で何の因果か小男で犬公方
       家宣は一番短命僅か三年の影の薄い将軍さま
       家継は新井白石正徳の治貨幣改鋳操られ人形
       吉宗は亨保の改革ペンペン草も生えない大飢饉
       家重は種馬だけの将軍か吉宗の後の始末で影薄し
       家治は印旛沼の干拓天明飢饉の賄賂の田沼バブルの時代
       家斎はバブルが弾けて財政建直しけちけち政治で寛政の改革
       家慶は飢饉が続き天保の改革世乱れ大塩平八郎の乱
       家定は黒船来たりて腰抜かし日米和親条約赤毛に平伏す
       家茂は桜田門外の変公武合体文久の改革大坂城で頓死
       慶喜は大政奉還さっさと逃げて隠居の暮らし
       歌い踊りながら舞台に華を添える。
晋作  てなわけで、淀んで腐った水は國民にとって体を弱体化させる下痢の素。士農工商とは名ばかりで、商人に頭が上がらず、武士はくわねど高楊子とは真っ赤な嘘十年先の録高を質に入れて食い繋ぎ、武士の魂の刀をば竹光に変えながら、粥糊(かゆと糊)で凌ぎ生きている。百姓は文久の大飢饉で絞っても出ない菜種油の糟と化し、職人も一日の日当で一月の家賃が払える時代とはいえ仕事もなくて腹も鳴って道具も持てず。明日に希望のない事が、夢も見られぬ時の世が、なんで幸せ育めようか。この高杉が、時代を引っ繰り返し・・・。奇兵隊を組織して・・・。
 ~~三千世界のカラスを殺し主と添い寝がして見たい~~
       高杉が歌いなかせら、トツプが消えると、坂本竜馬が入れ代わ
       り、坂本は瓦板売りの男である。坂本竜馬をこのセリフの後竜
       馬と書く。

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坂本竜馬  ほんにまったきなっとらんぜょ。飯を食う術を知らずにつんと澄まして肩で風切る、恰好はほんにきまっとったぜよ。じゃあけんど、強い風に扇られてよたよた歩く姿はみつともなかことぜょ。白旗の・・・。
 人間に上も下もなかけん脱藩して浪人になったきに。剣はお玉が池の千葉道場に通い北辰一刀流をばものにしたとが、斬った張ったの世のなかではなかことが見えとった。鉄砲で天下を取った織田信長、わしゃーピストルと大砲で天下取りじゃきに。腹減って刀も腰に差せんもんに天下國家を論じる資格はなかぜょ。これからは金じゃきに。大きな船じゃきに。七つの海に打出ての諸外國との貿易ぜょ。そんためにまずは鎖國を解くしかなかぜょ。鎖国を開國に変え・・・。わしゃー、尊皇攘夷も佐幕も倒幕も関係なかぜょ。銭のなか人間になにが出来よっとぜょ。
                     暗転

 省三は先を急いでいた。
 十一月の公演を決めていた。初めての子供たちや青年たちには十分な稽古の時間が必要だと思ったからだった。登場人物は百人、衣装や小道具、大道具に時間がかかりそうだった。衣装は要らなくなったものを貰いに行った。奇兵隊は学生服のお古を頂いてきた。雑兵傘と木刀を30個ずつ高松稲荷の土産物屋で贖った。笠は黒のペンキで塗り、刀は鞘を赤で塗り、刃の部分を銀色で塗った。模造刀も大小十振り買った。省三は書きながらその準備に忙殺される羽目になった。なるべく衣装を着せて腰に刀を差しての稽古を望んだからだった。動きに制限があることを考えてのことだった。足らずは作らなくてはならないのだった。背中にたてる幟は竹で作りさらしに文字を書いた。藩幕は白地の布をミシンで縫って模様を描いた。草鞋は県北の道端で売っているものを調達した。一品たりとも借りることはしなかった。
 悠一も豊太も物珍しいのか嬉々としてみんなの中に入って練習していた。
 省三は練習が終わって台本の続きを書く毎日が続いていた。

2

 上手にトップと言うことは、源内の書斎である。
       小町出て来て、辺りを見渡したが、
小町  お父さま・・・、三太郎・・・、五右衛門、茶子兵衛。もう何処え行ったのかしら、毎日新聞から随筆の「大風呂敷のなかの小石」の原稿は未だかという電話が入っているのに・・・。「三太郎の記紀」「良寛・乾いて候可?」「さざんがく」「現代水軍伝」と頭の中に台本を書いて家族のみんなを出演させ、舞台に乗せて・・・。何だか今回もややこしく、なりそう。よ、な、よ・か・ん・・・。

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       小町が歌う「物書き恥書き音頭」
       物書き恥書き頭書き無い物ねだりの大風呂敷
       物書き落書き義理を欠き奇人変人横着者
       嫁にきたのは良かったけれど頭が変になりそうよ
       物書き嘘書き情け欠きどこに真心落としたか
       史実を曲げて歴史変え書き捨て後免の無責任
       あることないこと書き連ね人を騙して原稿料
       物書き筋書き道理欠き詐欺と道連れ二人連れ
       ここに嫁したが身の哀れ、定めと諦め・・・。お父サマー
       お市が出てきて、
       お市はお竜である。
お市  ああ懐かしいこの香り、私をここに引き寄せる、愛の篭もったフェロモンが、心と体を狂わせた。いとしい人よ、いいえ、愛しい五右衛門さま。雨が降ろうが、槍が降ろうが、この道程はいとやせぬ。愛の広さ深さ大きさは、私の心を浮き立たせ強い思いを呉れましたワン。
人間の、犬畜生にと言う言葉、いっそそっくりそのままに人間畜生と返しましょう。
政治家、官僚、銀行証券、ゼネコン、損保、教育者、そっくりあげましょこの言葉。
人間も少しは私たちを見習ったらいいのだわニャーンあららワンだったワワワン。
       お千が出てきて、
お千  何時見ても色っぽいねワン。あたいもお市さんを見習わなくては・・・。お調子者の三太郎、胡麻すり穴掘り大好き五右衛門は今頃どこでどうしているかしらワワワン。
お市  私の五右衛門さまを悪く言う奴は堪えませぬ事よワワキヤンキヤン。
お千  一途な思いが理性を狂わせるときがあるのよワンキヤン、注意あそばせワワワンワン。人間のように色と金に狂ってはいかんワワン。
お市  なにを小癪な半端な野良犬がワワワンワンワン。
       お市、お千が睨み合って犬喧嘩。
小町  やめる。やめない。やめます、やめれば、やめるとき、やめよ。
    おやめ!(大きな声で叫んだ)
       お市、お千、口だけパクパク。
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          前出の瓦板売りが中央サスに。
瓦板売り  さあさぁ、さあさぁ、下津井屋の事の起こりは幕府が出した津留め令、倉敷村の商人がすわこの時とばかり買い占め藏の中に蓄め込んだ、米麦綿をば、水島灘に浮かぶ亀島から、汐入り川を下り児島湾の小串から、コッソリ荷船を出して兵庫、大坂へ禁を破って大儲け、それを妬んだ商人が時の代官大竹左馬太郎に訴えやしたが、のらりくらりと裁かず逃げていやした。その時、東中島屋大橋敬之助、積み荷の現場を押さえ船頭を引き連れて代官の前へ、そうなりゃあーウヤムヤに済まそうとしていた大竹代官はやけくそで津留め破りの商人たちを手錠村預け、入牢、謹慎と断を下しやした。ところが、幸か不幸か代官交替で桜井久之助が着任するや、倉敷村は港ではないので津留め破りなどあろう筈もないとの裁き、村人は怒り多勢を便りにの直訴、そんな事は屁のかつぱと聞き捨てたが、事の発端、村人のその恨みが下津井屋事件へと・・・。おっと、早まってはいけねえょ、犯人捜しに頭を働かしてはいけねえ。まあ、此処までしべりゃあ大方の見当が・・・。代官は三日三晩燃え盛る下津井屋を唯茫然と眺め、常夜灯のように汐入り川に影を落としていやした。そして、突然に「下手人は大橋敬之助唯 一人」と金切り声をあげやした。
       瓦板売りの明かりが消え、
       上手の源内の書斎にトツプが下りる。
       立石は源内である。立石とは敬之助の後の名前。
       立石とおけいが明かりの中に。
       林孚一と本城新太郎が出てきて、
       立石孫一郎を最初のセリフの後以下孫一 郎と書く。
       装置として何かを置く事。
立石孫一郎  おけい、困ったことになった。この私の短慮が・・・。
おけい  いいえ、あなたは唯いいと思ってなされたこと、何も後悔をなさることは御座いません。      
孫一郎  私はやっていない。やらせてはいない。私がやるなら代官桜井をやる。
おけい  これから・・・。
孫一郎  桜井に逢おう、そして身の潔白を晴らそう。                                
おけい  どうぞ此処は・・・。
林  敬之助さんここはおけいさんの言うとおり、一先ず身を隠した方がよを御座いましょうょ。なあ、本城さん・・・。
本城   林さまの言うとおり、桜井はあなたを下手人にして・・・。
孫一郎  逃げれば罪を認めたことになろう。
おけい  ・・・。あなた・・・。
林  通生の通生院八幡宮の三輪光郷の所に隠れてて少し様子を見てはどうかな。
本城  そうなさいませ。倉敷の出来事が手にとるように分かるかの地へ・・・。その方が・・・。
孫一郎  わたしの生き方が、誤解を招いたのか・・・。
       上手の明かりが中央へフェードアウトし中央トップに、
       大谷五左衛門と立石正介と大橋武右衛門(中島屋)が入る。
大谷  播州は上月村の大庄屋の大谷家の嫡子敬吉として産まれ、十六歳の時、庄屋見習いのおり、小 作を庇い役人と喧嘩をして・・・。
立石  敬吉の母の出所美作は二宮村の大庄屋立石家へ預けられ・・。
大谷  播州にはおれずに・・・。敬吉、優しさでは決して人は救えぬ、言葉で人は動かぬ。自らが先頭に立て、正しいと思ったことはだれのために正しいかを考えろ。身を捨てて浮かぶ瀬もある。
立石  この立石にきて、敬吉改め敬之助。剣は倉敷から出稽古に通って来られていた井汲唯一先生に習い、裏街道を行き来する長州の人達と逢い、世情のあれこれを・・・。それから、備中は倉敷村の、大谷家、立石家の親戚の大庄屋大橋家へ養子あい整い、大橋敬之助とせり、長女おけい殿と縁を結び分家、東中島屋として・・・。大橋武右衛門中島屋はええ養子をもろうたと大層に羨ましがられた。若い頃の短気さは影を潜め、商売熱心で村人からの信頼も熱く、よく相談に乗っておった。向学心は旺盛で、本町で間塾を開いておった森田節斎先生に漢詩を学び・・・。だが、育ちか、不正に目を瞑る勇気を持っておらなんだ。頼まれると嫌と言えない質、大谷、立石の血筋・・・。商人は御定法に従いながら利を稼ぐ、白を黒と言い儲けを考える、そこまではなかなか・・・。
       中央の明かりが上手へフェードして、
       孫一郎、おけい、林、本城、井汲へ。
孫一郎  みんなに迷惑を掛けて・・・。心配をしてもらって・・・。
     此処は一先ずみんなの言うとおり・・・。
林  その方が・・・。
本城   そうなさいませ。
孫一郎  井汲先生!
井汲   孫一郎、これからは、上も下もない、人はみな平等の世の中に。それ故にここは命を大切に・・・。人が何と言おうが、おんしのことは後の人が・・・。
       林と本城と井汲は消える。
孫一郎  おけい心配をかけるな。
おけい  家のこと、いいえ私たちのことはご案じなさいませぬ様に・・・。
孫一郎  正吉、千之輔、お鶴のことは・・・。
おけい  嫌疑が晴れれば・・・。
孫一郎  そうあって欲しいが・・・。おけい、世話になった。
おけい  くれぐれも・・・(泣き伏した)
       トップが落ち、瓦板売りの明かり。
       瓦板売りが入る。
瓦板売り  大橋敬之助、此処は逃げるにしかずと、やってもいねえ嫌疑を掛けられてはたまったもんじゃあ御座いやせんやぁー。夜半にこっそりと四十瀬から高梁川を高瀬舟をしたて江長、古新田、呼松、塩生、通生と下り身の置場を代えやした。敬之助は水島灘に突き出た宮の鼻でぼんやりと夕日を見て過ごしやした。「所詮人間とは定めに従うしかないのか」と、溜息混じりに落とした声が波の音に直ぐ消えやした。敬之助に届く便りは・・・。
       トップに孫一郎と三輪光郷神主が入り、

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三輪  大橋さま、届く便りは引き潮ばかり、桜井代官に尊皇の有志が呼び付けられて酷い取り調べあなたを隠しているのではとの詮議、それがだんだん酷くなっているようで御座いますょ。林さま、本城さま、島田方軒先生、それに・・・。
孫一郎  この私が名乗り出て身の潔白を・・・。
三輪  今名乗り出れば桜井代官にとっては物怪の幸い、猫に鰹節・・・。
孫一郎  私が、私一人が犠牲になれば・・・。
三輪  なりません。あの事件であなたを下手人にしたて、倉敷村の尊皇の志を持つ者のあぶり出しをと言うのが桜井代官の考えです・・・。
孫一郎  もう、幕府もなりふり構わずに・・・。足掻きが凋落の兆し・・・。
三輪  逃げられませ、そんなに幕府も長く持ちますまい。
孫一郎  この私に尊皇の仕事をせよと・・・。天の啓示か・・・。その道しかないのか、私は・・     ・。
三輪  それに、井汲先生も追われておられます。
孫一郎  なに、先生が・・・。なぜ!
三輪  井汲先生と大橋敬之助が、津留めの罪を無罪にしたその恨みから下津井屋を襲ったと・・・。    
孫一郎  不本意だが、先生を、大望前の先生をこの小事に巻き込むわけには行かぬ。三輪さん、倉敷に人をやって下津井屋は先の裁きに物申して正義の為にこの敬之助一人が起こしたとの流言を広めては呉れないだろうか?
三輪  それでは・・・、
孫一郎  此処は大橋敬之助が・・・これも定めとするならば甘んじて受けよう。
三輪  してこれから・・・。
孫一郎  大坂、京へ、下津井から・・・。
                     暗転


この小説は 海の華の続編である 冬の華の続編である 春の華の続編である 夏の華の続編である
秋の華
の続編である 冬の路の続編である 春の路の続編である 夏の路の続編である 秋の路の続編である冬の空1の続編である
「冬の空2」は彷徨する省三の人生譚である。
この作品は省三40歳からの軌道です・・・。ご興味が御座いましたら華シリーズもお読み頂けましたらうれしゅう御座います・・・お幸せに・・・。
この小説は 「海の華」の続編である 「冬の華」の続編である 「春の華」の続編である 「夏の華」の続編である「秋の華」の続編である 「冬の路」の続編である 「春の路」の続編である 「夏の路」の続編である 「秋の路」の続編である「冬の空」は彷徨する省三の人生譚である。「冬の空2」続きである・・・。
この作品は省三40歳からの軌道です・・・。ご興味が御座いましたら華シリーズもお読み頂けましたらうれしゅう御座います・・・お幸せに・・・。
続きは「春の空」に続く・・・。


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